C-PAPの代わりに口腔内装置(SAS治療用のスプリント)による治療ではだめですか?
A. 2004年4月より、SAS(睡眠時無呼吸症候群)の治療として健康保険の適応となりました。
スプリントはC-PAPに比べて簡便で持ち運びするのに非常に便利です。
スプリントが有効であるという論文は確かにありますが、C-PAPではほぼ睡眠中の無呼吸や低呼吸が1時間あたり5-10回以下であるのに対し、スプリントでは論文によって違いますが、有効とする基準がC-PAPに比べかなり甘い基準である場合が多いので、現在のところ、C-PAPと同じように有効と考えて良いとは考えられていません。
C-PAPとスプリントの有効性や効果を比較した最近の報告では効果やコンプライアンスの結果からはC-PAPの方がスプリントよりも良いとされています。
また、スプリントでは長期の有効性の評価や副作用に関する大規模な報告がないのも大きな問題です。
このため、SIGNのSASのガイドラインでは原則、眠気のない軽症の場合の治療とされています。
米国睡眠医学会のrecommendationでも中等症以上のSASではC-PAPがまずは選択されるべきだとされています。
中等症以上のSASの方では、スプリントはCPAPが使用できない際の代替治療と考えられた方が良いと思います。
確かに重症の睡眠時無呼吸の患者様でもマウスピースが非常に有効である場合もあります。
一般的には肥満が少なく、下顎が小さく後退気味であるSASの方で、仰臥位に比べて側臥位になるといびきや睡眠中の無呼吸などが改善傾向である場合には有効であることが多いと考えられています。