太っている方は、皆さんも思うように、いびきが大きいのは事実です。これは、太ると気道(空気の通り道)が狭くなり、狭いところを呼吸に伴い空気が通ることで流量が増え、いびきの一番の原因となる口蓋垂(のどちんこ)やその周囲の粘膜が振動しやすくなるためです。

いびきがダイエットを妨げる

いびきがあると入眠中に体力を使います。いわゆる睡眠障害に分類されます。

このいびきなどの睡眠障害そのものが原因となり、肥満をひきおこすことが最近の研究で明らかにされました。アメリカの厚生労働省にあたるNIHの大規模な研究でそのメカニズムがわかったのです。いびきなど睡眠障害があると、睡眠時に脳の食欲に関係する、視床下部の神経活動が活発化することが明らかにされたのです。その結果、食欲が増し太ることがその論文で報告されました。

皆さんもダイエットしようとしてもつい食べて太ってしまうという経験があると思いますが、その理由を科学的に証明したことになります。ダイエットしたい、しかし思うようにならない方は、普段、睡眠時にいびきがあるかチェックしてみてください。

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糖尿病を引き起こす事も

今までは、ダイエットに関するお話でしたが、肥満と関係ある糖尿病も、いびきなどの睡眠障害があると起こりやすくなることが、先ほどのNHIの研究でわかってきました。肥満と糖尿病は深く関係していますが、それだけでなく、睡眠障害があると脳の糖代謝が低下したり、夜間の成長ホルモンとコルチゾール(副腎皮質ホルモン)が増加することが明らかにされたのです。

これらホルモンは糖代謝に影響します。膵臓から分泌される血糖を下げる作用のあるインスリンの働きを妨げるため、血糖値が上昇し糖尿病になりやすくなるのです。また、睡眠障害があると、十分な睡眠がとれないので脳の神経活動が活発になります。結果インスリンの分泌そのものも低下するのです。より血糖値が上がることになります。

”自分のために”治す

このように、いびきなど睡眠障害のある方は、肥満だけでなく、糖尿病の危険性もあり注意が必要なのです。いびきをかかずに、よい睡眠をとることが、いびきが他人にたいして恥ずかしいだけでなく、御自身の健康のために必要なことなのです。

今回は、いびきはダイエットを妨げる重大な原因で生活習慣病の原因となるとのお話をしましたが、次回はいびきとストレスについてわかりやすく解説いたします。

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