レーザー医学の歴史といびき手術の歴史について解説します

レーザーの開発は、アメリカに始まります。
1954年に、C・タウンズらが、情報を多量におくるために、電波の一種のマイクロ派を強力にまっすぐに送り出す装置である「水素メーザー」を開発しました。彼はこれによりノーベル賞を受賞しています。

1960年にはアメリカのT.H.メイマンがルビーの結晶を使い、光を強力に直線的に送り出すレーザー発振装置を開発しました。これが近代レーザーの発祥です。
このレーザーを使い世界で初めて医療に応用したのは、1960年代にはアメリカのシンシナティー大学のレオン・ゴールドマンが、世界初のルビーレーザーで子供の皮膚の血管腫の治療を行いました。このことにより、彼はレーザー手術の父といわれています。

レーザー手術はアメリカが発祥なのです。
その後の1961年には、アメリカの眼科で網膜剥離の手術にレーザーが使われ、1970年には膀胱結石の手術にレーザーが使われました。

現在、医療現場で使用されているCO2レーザーはインド人パテルによる発明、Yagレーザーは1975年にドイツで開発されています。

日本での医療現場での導入は、1980年厚生省が外国製のレーザー機器を認可したことにより始まります。

レーザー手術はアメリカではじまりその後各国へ広まっていったのです。

いびきの手術は日本ではじまりました。
千葉県松戸で開業した池松先生が、口蓋垂とその周囲を切除する術式を始めました。1964年に日本耳鼻咽喉科学会会報に日本語の論文で発表しています。

口腔が術後広がることから、アメリカのヘンリーフォード病院の耳鼻咽喉科の日本医師、藤田先生が睡眠時無呼吸の手術として1981年に英語論文で発表し、世界的に行われるようになってきたのです。

その後レーザー機器の進歩により、レーザーを使用することで日帰り手術が可能なことが注目され、いびきの手術として、アメリカのHaraldsson先生、フランスのKamami先生がそれぞれ別々に1990年論文を発表しました。

フランスの術式は口蓋垂(のどちんこ)の切除とその両脇に切開をいれる方式であったため、いびきの再発が多くわずか数年ですたれてほとんど行われなくなってしまいました。その後アメリカや日本では術式の改良が行われました。

日本では1995年代に鹿児島大学耳鼻咽喉科の古田助教授が論文をまとめ、その後、いびき再発の少ない術式が開発されてきたのです。

このように、レーザー医学の発祥はアメリカ、いびき・睡眠時無呼吸の手術は日本人により考案され、レーザーを使用する術式は主に日本とアメリカで考案されたのです。

【著者紹介】

都筑 俊寛(ツヅク トシヒロ)
・日本耳鼻咽喉科認定専門医
・NPO法人 日本臨床レーザー協会 会員
いびきや鼻炎の外科的治療を行ないいびきレーザー治療では年間3,000件以上の実積を持つ。
『 新「名医」の最新治療 2013』(週刊朝日増刊号)で全国160人の医師として掲載された。
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