以前から、夜間や早朝におこる心筋梗塞が、いびきや睡眠時無呼吸症候群と関係しているのではないかといわれてきました。
長崎市立市民病院の中島寛・循環器内科部長により、今回の日本心臓病学会でその関係について発表されました。
発症率を睡眠時無呼吸とそうでない人で比較
2006~2011年に同病院で治療した心筋梗塞の患者に対し、発病から2週間後、睡眠時の呼吸や脳波などを測定。空気の通り道である気道が狭くなることで起きる「閉塞性睡眠時無呼吸症候群」と診断された216人と、診断されなかった72人について、6時間ごとの時間帯に心筋梗塞の発症率を調べた結果について発表しています。
無呼吸症候群の人は、午前6時~正午の発症率が38%と他の時間帯に比べて高く、「無呼吸」の程度が重い人の43%がこの時間帯に集中している結果でした。無呼吸症候群でない人は、どの時間帯も25%前後と差がみられなかったとのことです。
これは、睡眠時の呼吸障害による、動脈血の酸素濃度低下が心臓に負担をかけているためと思われます。
無呼吸は動脈血の酸素濃度を下げる
すなわち、普通の睡眠時では動脈血の酸素濃度は95%以上ですが、無呼吸がひどくなると酸素濃度が80%以下になることもあります。酸素濃度が低下すると脳など酸素を必要とする体の組織が血液の供給を要求するために心臓に負担がかかります。
心筋梗塞を予防するために、いびきや睡眠時無呼吸を防ぐことがたいせつなのです。
【著者紹介】
都筑 俊寛(ツヅク トシヒロ)
・日本耳鼻咽喉科認定専門医
・NPO法人 日本臨床レーザー協会 会員
いびきや鼻炎の外科的治療を行ないいびきレーザー治療では年間3,000件以上の実積を持つ。
『 新「名医」の最新治療 2013』(週刊朝日増刊号)で全国160人の名医として掲載された。
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